人の内面と外面から生活に潤いと気品を創出していただきたい。これこそが晄珠庵（こうじゅあん）で茶道を学んでいただく最も大切な目的です。何事においても手間がかかったり面倒だと思われることが、現代では概ね敬遠されがちであります。しかしながら、その煩雑なことが、実は心の豊かさや奥深さと密接に繋がっています。そして人ときちんと向き合い関わることは、日本人である私達の最も尊重すべき姿であり、失ってはいけないことでもあります。
　茶道の一番の魅力は、研ぎ澄まされていて自然な心配りとコミュニケーション能力、正しい知識、そして美しい所作が身に付くことです。しかし、この大切なことが、現代では簡略化されてしまったり、全く省かれてしまっていますが、本当にそれで良いのでしょうか？

　大切なことまで省略してしまい、心の潤いまで無くしてはいませんか？
　『礼儀作法を学びたい！』
　『自分勝手ではない思いやりを持ちたい！』
　『他の人の気遣いに気づける人になりたい！』
　人として素敵なことです。そしてこれらのことを学ぶのが、本来の茶道の目的です。しかしながら現代の茶道のお稽古では、これらのことが軽視され、ただ手順のみの偏ったお稽古がほとんどです。

　茶道の所作には全て意味があり、それには心がともなっています。計算され尽くした無駄のない動きや、おもてなしの心が身に付いていく様は、本当にすばらしく大きな財産です。まずは日常の挨拶や食事のマナーなどに際立って違いが出ます。姿勢や立ち居振る舞いに変化が現れ、考え方に幅が出てきます。

　晄珠庵では、同じ志を持ついろいろな世代の方々が、一緒に楽しくお稽古をしながら、成長していただける場所でありたいと願っております。